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ケンオール通信第14号:括弧つきの町域(4) 京都の通り名

ケンオール通信第13号:括弧つきの町域(3) 小字、かぎ括弧、区切り文字の処理では、括弧内の処理のうち、小字、かぎ括弧、区切り文字の処理方法について紹介しました。

今回は京都の通り名の処理を紹介します。

データは、記載がない限り2021-11-30のデータを用いています。

処理結果を確認してみたい方はこちらのデモから試してみてください。

京都の通り名

京都府京都市の一部の郵便番号レコードには、京都の通り名が付与されています。(例1)

6028064 京都府 京都市上京区 一町目(上長者町通堀川東入、東堀川通上長者町上る、東堀川通中立売通下る)

京都の市街地には278の町が存在しますが、同一区で同一町名を持つ町が120組もあります。

例えば京都府京都市上京区一町目は、先の例の他にもう一つあります。(例2)

6028134 京都府 京都市上京区 一町目(大宮通椹木町下る、大宮通丸太町上る、椹木町通大宮西入、丸太町通大宮東入)

京都の郵便局(東山郵便局様、下馬郵便局様)に確認したところ、郵便番号さえ合っていれば通り名を書かなくても荷物は届くとのことです。

しかし、ケンオールではこれらの通り名を展開し、可能な限り元のレコードの住所を復元できるようにしています。

京都の通り名の展開

展開方法そのものは簡単です。

小字だけを併記するパターンと同じく、単に複数行に展開するだけです。

例1を展開すると以下のようになります。

6028064 京都府 京都市上京区 一町目 上長者町通堀川東入
6028064 京都府 京都市上京区 一町目 東堀川通上長者町上る
6028064 京都府 京都市上京区 一町目 東堀川通中立売通下る

住所表記における京都の通り名

京都の通り名は小字と住所表記の順序が異なるため、独立したフィールドに格納する必要があります。

ケンオールでは、小字や丁目を格納するフィールドkoazaとは別に、京都の通り名専用のフィールドkyoto_streetに格納しています。

出力結果から住所文字列を作成する場合、以下の順序で組み立てます。

都道府県 + 市区町村 + 京都の通り名 + 町名 + 小字

京都の通り名と小字が同時に出現することはありませんので、条件分岐を行う必要はなく、上記の式のみで文字列を組み立てられます。

ケンオールAPIのレスポンスを使う場合は以下のようになります。

prefecture + city + kyoto_street + town + koaza

上記の式を例1の結果に適用すると、以下のようになります。

京都府京都市上京区上長者町通堀川東入一町目
京都府京都市上京区東堀川通上長者町上る一町目
京都府京都市上京区東堀川通中立売通下る一町目

ケンオールAPIレスポンスの詳細についてはドキュメントを参照してください。

京都の通り名における「丁目」

京都の通り名には、「丁目」を含むものがあります。

6050874 京都府 京都市東山区 常盤町(東大路通渋谷上る、渋谷通東大路東入、渋谷通東大路東入2丁目、東大路五条下る)

多くの地域において丁目とは町のある区画を指しますが、今尾恵介著「番地の謎」(光文社知恵の森文庫)によれば、京都の通り名で使われる丁目は距離を示すためのものです。

この例の場合、渋谷通東大路東入2丁目とは「渋谷通(しぶたにどおり)を進み、東大路通り(ひがしおおじどおり)からさらに東に2丁(約218m)分進む」という意味となります。

そのため渋谷通東大路東入2丁目全体で京都の通り名に相当する住所表記であるというのが正しい解釈となります。2丁目を他の地域における「丁目」と同列に扱わないよう注意してください。

なお、下馬郵便局様に確認したところ、渋谷通東大路東入2丁目常盤町という表記が正しく常盤町2丁目は間違いとの回答をいただきました。

京都の通り名では、半丁という表現も登場します。

6028414 京都府 京都市上京区 西北小路町(猪熊通上立売上る、猪熊通寺之内下る、大宮通寺之内下る東入、大宮通寺之内半丁下る東入、大宮通寺之内下る東入1丁目、寺之内通大宮東入下る、寺之内通大宮東入1丁目下る)

区画としての「丁目」の場合は半丁という表現は意味が通りませんが、距離を表しているのなら意味は通ります。

大宮通寺之内半丁下る東入は、「大宮通り(おおみやどおり)を進み、寺之内通り(てらのうちどおり)を半丁(約54m)下がってから東に入る」という意味となります。

「番地の謎」はケンオール通信第7号: 日本の住所の構造と郵便番号データでも紹介させていただいきましたが、素晴らしい本です。 未読の方は是非お読みください。

次回予告

次回は、郵便番号データ処理編の最終回として、郵便番号データ処理のまとめを公開する予定です。

ケンオールについて

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Shodoで執筆されました