この記事は2022年11月リリースでリリースされた機能の1つ、住居表示地域フラグについて紹介しています。
郵便番号で指定された町域が住居表示実施区域かどうかを与えるフラグ (town_jukyohyoji
) を郵便番号APIのレスポンスに追加しました。
住居表示実施区域とは、住居表示に関する法律 (昭和37年法律第119号)に定められた、河川などの自然境界や道路や線路などで区切られた土地に対して街区符号を、その上の建物などの施設に対して住居番号を割り当てた区域のことです。
このフラグを見ることで、当該地域が住居表示地域であり、(街区方式であれば) ○○-△△のような形式で住居が特定できる地域であることがわかるため、住所のバリデーションの精度向上に役立てることができます。
データソースとしては、電子国土基本図 (地名情報) 「住居表示住所」を用いています。このデータにはわずかですが一部の住居表示区域が含まれておらず、不正確な値を返すことがあります。 (例: 東京都千代田区千代田)
利用方法
本内容は、APIバージョンとして 2022-11-01
を指定した際にレスポンスへ含められるようになります。APIレスポンスの内容については、郵便番号APIのドキュメントを、APIバージョンの指定方法についてはAPIバージョニングのドキュメントを参照してください。
APIバージョニングのブログ記事も参照してください。
住居表示について
住居表示の実施の方法には以下が定められています。
街区方式
土地や施設にそれぞれ符号と番号を割り当てて住居を特定できるようにする方式です。具体的な方法については自治省告示第117号「街区方式による住居表示の実施基準」に述べられています。一般的に住居表示というと、この「街区方式」による住居表示を指します。
(例) 東京都千代田区千代田1-1
道路方式
道路と、そこに接する建物に割り当てた番号を用いて表示する欧米風の方式です。山形県東根市の一部区域で用いられているようです *1。
(例) 山形県東根市板垣大通り10
住居表示に関する法律の立法背景としては、高度経済成長期に急速に発展した市街地において、地番に基づく住所を用いるのは、自治事務や郵便の配達などに支障をきたすなどの事情があったと考えられます。
ほとんどの住居表示区域が街区方式を採用しており、さらに町名に××丁目とついているものが多いことから、××丁目という表記がある区域は必ず住居表示がされているかのように思えてしまいますが、実は必ずしもそうではありません。
まず、日本の住所システム上は、「◇◇ ××丁目」という表記がされるとき、××丁目が町名◇◇の下層にある街区区分となるような定義にはなっていません。町名に相当するのは「◇◇××丁目」全体で、その下にあるのは地番あるいは街区符号と住居番号です。したがって、外神田1-1-1という表記は、本来的には正しくないということになります。
ただし、住居表示をした際、当該区域を示すのに用いていた大字 (おおあざ) に対して××丁目を付加することによってさらに区域を細くした上で実施するという手順が採られた地域が数多く存在するため、かつての字 (あざ) に対応していた地域に対して、丁目の数字部分も符号と番号につなげて×-○-△という表記をするのが通例となっています。
面白い例として、静岡県下田市の住居表示実施区域には「一丁目」「二丁目」「三丁目」という町名があります。つまり、表記としては「静岡県下田市一丁目」となります *2。当該区域にはもともと字がありますが、住居表示実施の際にはその字を町名に採用しなかったということです。
一方で、「東京都千代田区麹町三丁目」のように、あたかも住居表示が実施されているような町名でありながら、実際には住居表示がされていないものもあります。こうした区域は全国にあり、たとえば埼玉県上尾市には「壱丁目」「壱丁目北」「壱丁目西」「壱丁目東」「壱丁目南」のように漢数字の大字 (だいじ) が用いられている町名があったりします。